母の提案。

週末、田舎で一人暮らしをしている母に電話しました。

 

「来年の春は父さんの三回忌やなぁ」

と言ったら母は

「アッ!・・あははははー」

と笑いだしました。

すっかり忘れていたようです。

というか

三回忌は済んで、次は一三回忌まで何もないと

のんびり構えてたらしいのです。

それにしても、悲しみを引きずらない母の強さよ。

 

思わず

「そのうち、父さん母さんの合同法要になったりして(笑)」

と私が言ったことから、母自身のお葬式の話になりました。

 

「母さん、遺影ちゃんと用意しといてよ。

 あ、あれ、踊り(母は日本舞踊の名取を持ってるのです)で舞台立った時の写真!

 顔真っ白に塗って、日本髪のカツラかぶったやつ!

 あれを畳ぐらいに引き伸ばして遺影に使お!」

と提案したら、母は大笑いして

「それにして!あの写真がええわ〜。」

 

私「せっかくやから棺も立てて

  参列してくれた人に母さんの顔がよぅく見えるように扉開けてさー」

母「ウンウン。母さん身体小さいからコロコロ転がるなぁ(笑)」

私「ついでに黒白のくじら幕やなくて

  派手に紅白の幕にして、花火打ち上げよか(笑)」

母「ほんでな、紅白饅頭を近所に配ってー。

  皆で三味線と鐘や太鼓で踊ってよ。阿波踊り!」

私「わかった!葬儀会場やお坊さんにも

 『父の時はしんみりした葬儀にしましたが、母はにぎやかにやっちゃってください」って言っとくわ〜」

母「そうして、そうして〜!」

と二人でゲラゲラ笑って電話を切ったのでした。

 

母曰く

「3、4歳の子がしんだ、4〜50代で病気で亡くなったというんならツライけど

 80、90超えて、病気一つせず大往生ならお祝いよ」

とのこと。

これ、案外真理をついてるような気がします。

この身体と重力と制限のある世界で一生懸命生きてきて

やっと『すごろくの上がり』のような死だと、お祝いじゃないかなぁと。

この10月にガン闘病の末、50代で亡くなった従姉妹のことを思いながら

そんなことを感じるのでした。